液状化現象はなぜ起こる?原因や与える影響を解説

人と社会2024.07.04

この記事について

地震のニュースなどで、「液状化現象」という言葉を聞くことがあります。
地面や道路のような硬いものがなぜ液状化するのか、そもそも液状化とはどのようなことなのかわからないという人も多いのではないでしょうか。

今回は、液状化現象について解説します。
液状化現象が起こる原因や液状化現象が与える影響についてもお話しします。

このコラムは、私が監修しました!

北海道科学大学 工学部 都市環境学科

教授川端 伸一郎Shinichiro Kawabata地盤工学

寒冷地で発生する地盤の凍上現象について、その対策工法を研究しています。
凍上現象とは、土が凍る際に周囲から水を集めて大きく膨張する現象です。場合によっては10cm以上も地面が隆起して道路などの土木構造物を破壊します。どのような土がどのような条件で凍上を起こすのか、実験や数値解析で明らかにしようとしています。
実験によって確認する、フィールドで観察する、数値解析で再現する、とにかく自然現象は謎多き魅力的な研究テーマです。

液状化現象とは

液状化現象とは、地震などの大きな揺れによって地盤がドロドロの液体状になってしまう現象のことです。

液状化現象が起こると、硬い地盤に支えられていた建物がバランスを崩して傾いたり沈んだり、軽いマンホールが浮き上がったりしてしまいます。
水道管が断裂して断水になるなど、安全な生活やライフラインにも甚大な被害を与えてしまいます。

液状化現象はなぜ起こる?原因と仕組み

液状化現象は、地震のゆれにより砂粒子同士のかみ合わせがはずれてしまうことが原因で起こります。

隙間が水で満たされた砂の地盤も、普段は砂粒同士が摩擦によってかみ合い、安定した状態を保っています。
その安定した砂粒に地震の揺れが加わり、砂粒が移動することによって水圧が上がり粒子のかみ合いをはずしてしまいます。

かみ合いのはずれた砂粒の層は泥水のようになり、ドロドロの液状へと変化。
上昇した水圧によって、泥水が地表へとあふれてしまうのです。

液状化現象は震度5以上の揺れで発生する可能性が高いといわれています。
また、揺れている時間が長いほど被害が大きくなる傾向があります。

液状化しやすい地盤はある?

液状化しやすい地盤には2つの特徴があります。

液状化しやすい地盤の特徴①緩い砂地盤である

そもそもの地盤が緩いと、液状化現象が起こりやすくなります。

N値(地盤の締まり具合を示す値の一つで、数値が低いほど地盤が弱い)が20以下で、土の粒子の大きさが0.03mm~0.5mmの砂地盤では、液状化現象が起こりやすいといわれています。
これは、海岸や河口付近、埋立地、河川の扇状地などに多く見られる地盤です。

逆に、密な砂地盤や粒子の細かい粘土質の地盤では、液状化現象は起こりづらいとされています。

液状化しやすい地盤の特徴②地下水位が地表から10m以内にある

地下水位とは、地盤の下にある地下水の深さのこと。
この地下水位が地表から10m以内の場所にある地盤は、液状化のリスクが高くなります。

そのため、海岸に近い埋立地では液状化現象が起こりやすくなっています。

液状化が与える影響

液状化により浮き上がったマンホール

液状化が起こると、建物が傾いたり、マンホールが浮き上がってきたり、道路がぐにゃぐにゃになってしまったりと、安全や生活に大きな影響を与えます。

液状化の影響が目に見えてわかる地域だけの被害と思われがちですが、液状化の恐ろしいところは、広範囲に影響を及ぼすことです。

例えば、水道管が分断されてしまうと、水が供給できず、液状化していないエリアでも断水する恐れが。
切断箇所から泥水が入り込んでしまうこともあります。

また、マンホールが浮き出たり、道路がぐにゃぐにゃと波打ってしまったりすると、安全に道路を使えません。
移動がスムーズにできなくなるばかりでなく、事故を誘発してしまうこともあるのです。

さらに、地表面に出てきてしまった砂が乾燥すると、風とともに舞い上がり、衛生面で問題になることも。

また、建物が傾くことでいうと、最も影響を受けやすいのは木造住宅です。
大きなビルなどのほうが重くて沈み込みやすいイメージがありますが、実は肝は基礎。
建物の下には基礎と呼ばれる土台をつくるのですが、木造住宅は建物の重量が軽いため基礎が浅く、よりいっそう液状化の影響を受けやすいのです。

液状化の原因は地盤の種類と地下水面までの距離が関係している

液状化現象とは、地震の揺れによって地盤の安定が崩れ、ドロドロとした液体状になって、泥水が地表にあふれてしまうこと。

液状化が起こることで、建物が傾いたり、マンホールが浮き上がったりと、安全や生活に大きな影響を与えます。

液状化が起こりやすいのは、緩い砂地盤で地下水位が地表から10m以内にあるところです。
液状化が起こると、その地域だけでなく、周辺地域の生活にまで影響を及ぼします。

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