サプリメントと薬の違いとは?同時摂取・服用は注意を

2024.08.06

この記事について

栄養補給や健康維持のためにサプリメントを利用する人が増えていますが、サプリメントと薬は何が違うのかご存じでしょうか?
今回のコラムでは、サプリメントと薬の定義や違い、そして同時摂取する際の注意点について解説します。
意外に知らないけれど、知っていれば健康管理に役立つ知識ですのでぜひご覧くださいね。

このコラムは、私が監修しました!

北海道科学大学 薬学部 薬学科

教授若命 浩二Wakame Koji薬学

私の研究室では「天然素材の薬理学的検証」を行っています。
もともと「クスリ」は自然の中の成分から見出されたものが非常に多くあります。
たとえば、有名な解熱鎮痛薬の「アスピリン」は「西洋シロヤナギ」の中から発見されました。ですから、天然素材、栄養素はまだまだ薬になるような成分の宝庫ともいえます。
一方で、薬を開発するのは時間、お金が非常にかかってそうそう簡単ではありません。
そのような中で、副作用がなく、ゆっくりと身体機能を調節し、病気の初期の段階の症状を緩和する可能性のあるサプリメントは研究材料として魅力的でした。
「セルフメディケーション」という言葉にあるように、病気の予防や手当ては個人個人が責任をもって行う時代になってきました。そのような時に、それぞれの体調に合わせて摂取することのできるサプリメントが必要とされてきています。
薬剤師という薬の専門家だからこそ、サプリメントを学んで、患者さんのニーズに対応できようにしておくことはとても大切だと思います。

サプリメントと薬の違い

サプリメントとは、健康の維持・増進のため、普段の食事で不足している栄養素の補給のために食品の成分を錠剤、カプセル、顆粒、ドリンク状に加工した食品です。
そう、サプリメントは「食品」なのです!

サプリメントは、健康な人が栄養の補助として使うことを前提に販売されていて、病気やケガの治療効果を目的に使用する「薬」とは別ものです。

しかし、最近では健康への一定の効果が認められている「特定保健用食品(トクホ)」や「栄養機能食品」「機能性表示食品」などを「保健機能食品」と呼び、法律に基づいてその機能性を製品に表示することができるようになりました。

一方、薬は、病気やケガの治療、症状緩和などを目的に利用するものです。
その効果や有効性が科学的に認められ、厚生労働省による審査に合格したもののみが医薬品として承認されます。

薬は、厳正な審査を経て製品化されているため品質や効果は一定に保たれ、医師や薬剤師、登録販売者など有資格者の管理下で処方、販売、利用されます。

サプリメントと薬の違いを、あらためて確認しましょう。

【目的】

  • サプリメント:健康な人の健康の維持・増進、栄養補給
  • 薬:病気やケガの治療、症状緩和

【品質】

  • サプリメント:品質が一定とは限らない
  • 薬:審査を行い、品質・効果を一定に保つ

【管理・販売等】

  • サプリメント:選択、購入、利用は消費者の自由
  • 薬:医師、薬剤師、登録販売者などの管理下で処方、販売、利用する

サプリメントと薬の同時摂取・服用は要注意

サプリメントを飲もうとする人

薬の飲み合わせに禁忌があるのはよく知られていますが、サプリメントと薬を同時に摂取・服用する場合も同様に注意が必要です。

摂取したサプリメントの成分によっては、服用中の薬の効果が弱まったり、逆に効果が強まったりすることがあります。

サプリメントと薬を同時に摂取・服用したい場合は、必ず医師や薬剤師などの専門家に相談してください。
治療中の病気とは関係ないと思われるサプリメントでも、治療を妨げる成分が含まれている可能性があります。

そのため、妊娠中や授乳中の女性や、病気療養中の方がサプリメントを摂取する場合は、成分に問題がないか確認し、迷う場合はかかりつけの医師や薬剤師に相談しましょう。

食物アレルギーがある方は、アレルギー表示や原材料も必ず確認してくださいね。

なお、サプリメントの多くは基本的に食経験や健康な成人を対象に安全性が検証されています。

サプリメントは健康維持などをサポートする「食品」で、薬ではない

サプリメントは健康な人が使用する前提の、健康維持・増進や栄養補給などを目的とした食品です。

一方で、薬は病気治療や症状緩和のために使用するもので、厳格な審査を経て認可され、効果や品質が一定に保たれています。
サプリメントは消費者が自由に購入、使用できるのに対し、薬は医師や薬剤師、登録販売者などの管理下で処方、販売、利用されるという違いもあります。

サプリメントの中には薬の効果に影響を与える成分があるため、サプリメントと薬の同時摂取・服用には注意が必要です。
サプリメント単体の摂取でも、妊娠・授乳中の女性や食物アレルギーのある方などは含まれている成分を確認してから摂取しましょう。

迷ったときはかかりつけの医師や薬剤師に相談することをおすすめします。

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処方箋が必要なクスリ、ドラッグストアで気軽に買えるクスリ、ジェネリック医薬品などクスリにはさまざまな分類があり、さらに、健康食品も機能性表示食品、栄養機能食品などの分類があります。
これらの分類を理解して上手にクスリとお付き合いしていきましょう。

北海道科学大学薬学部薬学科では、薬学教育モデルのコアカリキュラムのほか、独自のカリキュラムをご用意しています。

超高齢化社会を迎え、薬剤師の存在感や必要性が高まっている中、地域医療を担う一員として、高い専門知識と使命感を持った医療人を育成します。

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