花火の色の仕組みとは?炎色反応について解説!

科学2024.04.18

この記事について

夏の空を彩る花火。
色とりどりに輝く花火は、見る人の心をわくわくさせる美しさを持っています。

では、あの花火の美しい色はどのように作られているのでしょうか。
 
今回は、花火の色の仕組みについて詳しく解説します。
花火の色が変わる打ち上げ花火の仕組みや、美しく見せるための工夫などについてもお話ししていきますので、ぜひご覧ください!

このコラムは、私が監修しました!

北海道科学大学 薬学部 薬学科

講師三原 義広Mihara Yoshihiroグリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連

私の研究内容は微生物やゲルを取り入れた水をきれいにする浄化材料の開発を行っています。
最近、ゲルに微生物を混ぜると炭酸ガスができて、ゲルの浮力が変化するとまるで「生き物」のように水中を自由に動く機能を発見しました。ゼリーやプリンなどの食べ物や、おむつやコンタクトなどの日用品、湿布といった医薬品まで、実はゲルに関係する最先端の科学や技術がひそんでいます。「スライム」あそびをするように実験に取り組んでいます。ゲルの自律浮沈現象や水浄化に興味を持った方はぜひ大学に遊びに来てくださいね。
大学では分析化学の授業を担当し、科学研究部の顧問をしています。
私が夢中になっていることは、ぬか漬けです。毎回味が変わります。。

花火の色の仕組みとは?炎色反応って何?

花火というと、手に持って遊ぶおもちゃ花火や上空で美しい色を放つ打ち上げ花火を思い浮かべる方も多いでしょう。

尺玉は打ち上げられると、上空で約300メートルもの直径に広がることができる能力を持っています。
尺玉は基本的に2つの部分から成り立っており、1つは花火を形成する星、もう1つは星を飛ばす黒い火薬玉が詰まっています。金属を含む薬品を星に混ぜることで、花火に色を付けることができます。

日本の花火に色がついたのは、明治時代になってからです。
江戸時代には薬品が手に入らなかったため、木炭が燃える際に放つオレンジの色しか見られませんでした。
そのため、当時の花火職人たちは、星の位置を変えることで打ち上げ花火の形を競い合っていたと言われています。

現在の打ち上げ花火は、黄色や青色、緑色など、さまざまな色を放ちます。
これは、化学反応によるもので、「炎色反応」と呼ばれます。
花火の炎色反応は、特定の金属を燃やすことで発色し、その特性を利用して多彩な色の花火を楽しむことができます。

花火玉には火薬が含まれていますが、火薬に配合される金属元素の種類によって花火の色が決まります。
例えば、リチウムは深い赤色、ナトリウムは黄色、カリウムは紫色、銅は青緑色、カルシウムはオレンジ色、ストロンチウムは深い赤色を発色します。

▼リチウム(Li)

▼ナトリウム(Na)

▼カリウム(K)

▼銅(Cu)

▼カルシウム(Ca)

▼ホウ素(B)

「星」に含まれる金属を変えることで、多彩な色の花火を作ることができます。
また、大きさの異なる星を組み合わせることで、観客を楽しませる面白い形の花火を作り出すことも可能です。

花火の色が変わる打ち上げ花火の仕組み

花火玉

そもそも打ち上げ花火は、「花火玉」という球状のものを打ち上げることで夜空を彩ります。

花火玉の中には、複数の小さな球が入っており、これを「星」と呼びます。
この星は火薬に金属を混ぜて固めたもので、星に配合する金属の種類によって炎色反応を起こし、花火の色が変わります。

打ち上げ花火にはさまざまな種類がありますが、夜空で色が変わる花火を見たことがある方も多いかもしれません。
これは、星に工夫を施すことで実現される技術です。

星の中心部には芯があります。
例えば、芯の周囲に赤色に輝く火薬をつけて、その周囲に青色に輝く火薬をつけます。
そして、さらにその周囲に黄色に輝く火薬をつけて、最後に火をつけやすくするために火薬をつけます。

星は外側から燃えるため、黄色→青色→赤色に変化する打ち上げ花火となるのです。

花火の構造

打ち上げ花火を美しく見せる工夫:花火師が心がけていること

打ち上げ花火は「花火師」という、花火を作る職人さんの力量に大きく左右されます。
花火師が大切にしていることはいくつかありますが、その中でも特に重要なのは安全性と芸術性です。

花火師は、花火を 人びとに楽しんでもらうために、安全性を最優先に考えます。
花火の製造、取り扱い、打ち上げにおいて、厳格な安全基準に従います。

花火は単なる光や音のショーではなく、芸術作品としての側面も重視されます。
花火師は、色、形、サウンド、タイミングなどを組み合わせて、美しい花火のデザインを作り出します。
美しく見せるためには、使用する火薬の量や、花火を爆発させるタイミングの調整が非常に重要です。
 
先ほどご紹介したように、花火は星に配合する金属と火薬によってさまざまな姿に変化します。
花火が爆発したときの色やその変化だけではなく、残像までイメージし、星を詰めています。

さらに、花火が最も高く打ち上がるタイミングで爆発するように、花火が打ち上がるスピードから火薬の量を細かく計算しています。
花火が上がりながら、もしくは落ちながら爆発してしまうと、綺麗な円を描けないのです。

花火の色の仕組みは炎色反応がポイント!

花火で見られる炎色反応とは、ある金属を燃やしたときに特定の色の光を放つ現象のことです。

花火玉には火薬が入っており、その火薬に配合される金属の種類によって、花火の色が変わります。
花火玉の中には、火薬に金属を混ぜて固めた「星」という花火の形をつくる球が入っています。
星に配合する金属の種類によって炎色反応が起こり、花火の色が変化します。

夜空で色が変わる花火は、星に何層も異なる金属を配合した火薬をつけることで作られています。
私たちが心打たれる美しい花火は、花火師の努力と長年の経験によって作り出されているんですね。

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