救急車を呼ぶ基準は?救急車の呼び方や救急車が来るまでにできること

健康2024.02.13

この記事について

身近の人が調子悪くなった場合、けがや病気で人が倒れている場面に遭遇した場合など、救急車を呼ぶべきか悩んだことはないでしょうか?
症状が軽い場合もあるため、無闇に救急車を呼んでは本当に緊急を要する人が助からないことも考えられます。


そこで今回は救急車を呼ぶ際の基準や、呼んだ際に必要な行動について解説します。
ただし、これで完全なわけではありません。
迷った場合には、119番通報、救急安心センターや救急当番病院などへ連絡することをためらってはいけません。


救急車が到着するまでにやるべきことについてもご紹介しますので、もしものときに備えるために、ぜひご覧ください。


このコラムは、私が監修しました!

北海道科学大学 保健医療学部 看護学科

教授石川 幸司Ishikawa Koji臨床看護学 循環器内科学

私は急変対応を効果的に教育するための研究を行っています。どうしても救急場面では経験が少ないと緊張して普段の力を発揮することができない状況があります。
私の研究室では「命を守る現場でもケアする力を」を身に付けることができるような研究に取り組んでいます。
このような生命が危機的な状況では、知識や技術以外にも落ち着いた状態で行動することが求められます。しかし、何度も急変するような場面に遭遇するわけではないため、人によって経験が異なります。
そこで、シミュレーション(模擬環境)で救急場面をリアルに再現し、繰り返し学習することで実践力を高めたり、どのように教育すれば実践力が向上したりするかと検証し、看護師の安全かつ適切な実践力向上にむけて取り組んでいます。
大学教員として勤務しながら、医療機関のDMAT隊員としても登録しており、実際の有事(災害時)には被災地で医療活動を行っています。

救急車を呼ぶ基準は?迷ったときはどうする?

緊急を要する症状が出た際、救急車を呼ぶべきか判断に迷うこともあるでしょう。
救急車を呼ぶ基準を把握しておくと、万が一の事態でも迷わず判断ができます。
では、救急車を呼ぶ基準となる症状と、迷った際の対処法についてご紹介します。

救急車を呼ぶ必要がある症状

「心臓や脈が止まっている」「呼吸をしていない」などわかりやすい症状以外にも、救急車を呼んだ方が良い基準があります。
以下のような症状がある場合は、すぐに救急車を呼びましょう。

大人・高齢者の場合

大人や高齢者の場合、緊急を要する症状は以下の通りです。

  • 全体的に肌が冷たい
  • 意識障害が起きている(意識がない、朦朧としている)
  • けいれんが止まらない
  • 呂律が回っていない・反応が鈍い
  • 出血を伴うけが(押さえても止まらない出血)、重度のやけど
  • 冷汗を伴う強い吐き気
  • 物を喉に詰まらせている
  • 飲酒や薬による中毒症状(呼びかけても反応がないなど)が起きている
  • 交通事故や水難事故・転倒などによる強い衝撃

【部位別に特に注意したい症状】

  • 頭:急な激しい頭痛や高熱、支えなしで立てないくらいのふらつきがある
  • 顔:顔半分が動きにくい、視野が狭くなる、周りが二重に見える、顔色が悪い
  • 胸・背中:急な激痛や息切れがある、締め付けや圧迫されるような胸の痛みがある、痛む場所が移動する、安静にしても痛い
  • 腹:急な激痛・激しい腹痛が続く・吐血・血便や黒い便
  • 手足:急なしびれ・片方の足や腕に力が入らない

交通事故の場合、事故直後は特に症状が見られなくても、しばらくしてから重症化するケースがあります。
自分や周囲の人だけで判断せず、救急車を要請して適切な処置を受けましょう。

子どもの場合

15歳以下の子どもの場合、緊急を要する症状には以下のようなものがあります。

  • 意識障害が起きている(意識がない、朦朧としている)
  • 物を飲み込んだことによる呼吸困難・意識がない
  • けいれんが止まらない
  • 全身にじんましんが出て顔色が悪くなった
  • 広範囲にやけどを負った
  • 交通事故や水難事故に遭った、高い場所から落ちた場合
  • 41.5℃ 以上の高熱がある

【部位別に特に注意したい症状】

  • 頭:頭痛とけいれんがある、頭からの出血が止まらない・意識がない
  • 顔:唇が紫色に変色している、顔色が悪い
  • 胸:激しい咳がある、苦しそうに呼吸している、呼吸が弱い
  • 腹:激しい下痢や嘔吐・血便がある、食欲がなく意識がはっきりしない
  • 手足:手足の硬直が起きている

生後3か月未満の赤ちゃんの場合は特に注意が必要で、38℃以上の熱があり、様子がおかしい場合は、後ほどご紹介しますが「子ども医療電話相談」などへ相談をして救急車の判断を仰ぎましょう。

また、41.5℃ 以上の高熱は身体に有害な場合があるので、車ですぐ救急病院へ向かえない場合は救急車を呼びましょう。

小さい子どもの場合、誤飲による事故が発生するケースも多くあります。
子どもの口でも入るような小さい物などは、手の届かない場所へ保管して子どもが取れないようにしましょう。
万が一誤飲してしまい、息苦しそうな場合はすぐに119番通報が必要です。

救急車が必要か迷った時にはここに連絡を!

自分自身ではどうしても判断が難しい場合「救急安心センター」への連絡がおすすめです。

救急安心センターは電話で「#7119」とかけると、医師や看護師などの専門家から救急車の要請が必要かどうかアドバイスを受けられます。
相談内容から緊急性がある場合は、そのまま救急出動へとつながるほか、緊急性が高くない場合でも医療機関の紹介や受診のタイミングについても教えてもらえます。

ただし、「#7119」は利用できる地域が限られます(以下参照)。

【全域で利用可能】
宮城県・茨城県・埼玉県・東京都・新潟県・京都府・大阪府・奈良県・鳥取県・山口県・徳島県・福岡県

【一部地域のみ利用可能】
札幌市周辺・横浜市周辺・神戸市周辺・田辺市周辺・広島市周辺

「#7119」以外の番号で設置している地域もあるので、お住まいの自治体の情報をご確認ください。
また、救急車を呼ぶ目安を判断できる、全国で使えるアプリ「消防庁提供の全国版救急受診アプリ「Q助」」もあり、事前にダウンロードしておくと安心です。

子どもの場合は子ども医療電話相談「#8000」が全国で利用可能です。
ただし利用できる時間は地域によって異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。

自分自身の判断で救急車を呼ぶべきか悩んでいる場合は、迷わず救急安心センターへ連絡してくださいね。

救急車の呼び方も確認!

救急搬送される人

救急車を呼ぶ際は、まず119番に電話をし、担当の職員へはっきりと救急であることを伝えましょう。
その後、住所・電話番号・症状について慌てず落ち着いて伝えます。

住所を伝えた時点で救急車が出動するので、到着までの間に症状について以下のような詳しい聞き取りが行われます。

  • 症状が出ている方の性別・年齢
  • 病気や事故かの特定
  • 呼吸の状態
  • 冷汗の有無
  • 顔色について
  • 会話が可能か

症状によっては応急手当てが必要であるため、その際は職員から指導を受けつつ応急手当てを行います。
救急車が出動した際、出動にかかる費用は税金でまかなっているため無料です。

しかし、一刻を争う重大な状況の場合は医師が同乗しているドクターカーやドクターヘリで出動することもあり、その際に医療行為を行った分の費用は発生します。

通常は救急隊員が処置を行いますが、あくまで症状の進行を遅らせるための応急処置しかできません。
そのため、医師による医療行為が必要な場合は無料ではない点に注意が必要です。

救急車が来るまでにできること

意識がなく、心臓や呼吸が止まっている場合は現場にいる人たちで応急手当を行う必要があります。
119番通報すれば指令センターの方が適切に指示してくれますので、すぐに通報することが重要です。

倒れている人に呼びかけて反応がなければ、迷わず心肺蘇生として胸骨圧迫(心臓マッサージ)を実施します。
心肺蘇生を行っている間に別の人がAEDを用意し、状況に応じてAEDで電気ショックを与えるなどの処置を行いましょう。

出血がある場合は、すぐに止血をする必要があります。

止血の方法には「直接圧迫止血法」と「止血帯止血法」の2種類があります。
直接圧迫止血法は、ガーゼやハンカチを出血している部分に強く当てることで、出血を抑える方法です。
直接、血に触れることで感染などの問題もあるので、ビニール袋を利用して圧迫すると良いです。

止血帯止血法は、出血している上肢もしくは下肢に止血帯などの帯状の物を用いて止血する方法です。

また、救急車が来るまでの間に、以下の物を用意しておく必要があります。

  • 保険証や診察券
  • お薬手帳または普段飲んでいる薬
  • お金

乳幼児の場合は、上記に加えて以下を用意する必要があります。

  • 母子健康手帳
  • 哺乳瓶
  • 紙おむつ
  • タオル

救急車に乗れる家族の人数には限りがあるため、基本的に付き添いは1人のみです。
救急車に誰が付き添うかも決めておきましょう。

救急車が現場に到着したら、救急隊へ到着までの状況や手当の内容、患者の特徴について説明します。

救急車を呼ぶための基準を把握して適切に対応しよう

救急車を呼ぶ際の基準には、顔や手足の麻痺、肌が冷たいといった症状が見られるなどさまざまあります。

突然重い症状が見られた場合や、以前よりも症状が強く現れている場合は、速やかに119番通報することが大切です。

子どもや大人によって緊急を要する症状が異なるため、どのような症状が緊急性のあるものなのか日頃から把握しておくと良いでしょう。
子どもの場合は誤飲による事故が発生するケースもあるので、小さい子どもがいる家庭は子どもが手の届かない場所へ物を置くことも大切です。

大人や高齢者の場合、事故直後は特に症状がなくても、時間が経過してから症状が現れる可能性もあります。
特に問題ないと判断せず、いつもと様子が異なる場合は救急車を要請して治療を受けるようにしましょう。

「救急時の対応」がより深くわかる出前授業も行っています

北海道科学大学看護学科の石川幸司准教授が本記事と同じテーマの「救急時の対応」について講座を行っています。
「緊急を要する事態に遭遇した際の適切な対応方法や、救急車を呼ぶか呼ばないかについての判断方法を解説します。」

高等学校をはじめ中学校・小学校の関係者の方でご興味のある方は、ぜひ下記からお問い合わせください。
北海道科学大学出前授業ページ

北海道科学大学看護学科では、看護師としての必要な知識やノウハウを学び、看護を必要としている方へのサポートができるようになります。

北海道で看護師の国家資格を取得したい方は、ぜひ北海道科学大学看護学科へお越しください!
医療の先端技術を学べるほか、現場での豊富な経験を持つ教員による講義を受けられるなど、充実したカリキュラムで看護師に必要な知識を身につけられますよ。

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