糖尿病をわかりやすく解説!種類や原因、症状を知ろう

健康2024.07.29

この記事について

糖尿病という名前は聞いたことがあっても、どんな病気なのか、どんな症状なのかを知っている方は多くありません。
糖尿病はだれでもなる可能性がある病気だからこそ、原因を知ることで予防できる可能性も高まります。


今回は、糖尿病について解説します。
糖尿病の原因や種類、治療法や糖尿病の症状までわかりやすくお話ししますので、ぜひ、これからの生活に役立ててくださいね。

このコラムは、私が監修しました!

北海道科学大学 薬学部 薬学科

教授佐藤 久美Satoh Kumi薬理学

私は、高校生の時に「薬剤師」になりたいと思い、北海道薬科大学(現科学大学)に入学しました。ところが、卒業研究で実際に研究室に入り、「実験」を経験してから、すっかり研究の虜になってしまい、卒業後、大学で研究を続けることになりました。研究は、辛いこともありますが、研究成果の発表の場である日本各地で開催される学会に参加し、他大学の研究者たちとの討論や、違う地域を「見て」、「食べて」を経験することが今の楽しみです。講義では、「薬理学」という科目を担当しています。「くすりが効く」プロセス、つまり、薬が体内に入ってから、「どこに」、「どのように」働いて、「どんな」作用を現すかを学ぶ教科です。

糖尿病とは?わかりやすく解説

糖尿病について詳しく解説する前に、まずは私たちの体の仕組みについてお話しします。

ヒトの体内に食べ物が入ると、栄養素の一部がブドウ糖となって腸から吸収され、血液中に出ます。
ブドウ糖というのは、体のエネルギーになるものです。

食べ物を食べることでブドウ糖が作られるわけですが、寝ているときなど空腹状態が続くときには、膵臓という臓器が主にブドウ糖を生成。
こうして、ヒトの体の中では、絶え間なく血液中にブドウ糖が巡っています。

ブドウ糖は血液の中を流れて、体中の組織や臓器に届けられるのですが、ここで組織や臓器に吸収されるためには「インスリン」が必要になります。

インスリンは肝臓から出るホルモンで、同じく血液中を流れています。
インスリンがきちんと働くことでブドウ糖がスムーズに血液中から臓器や組織へと移動でき、血液中のブドウ糖の濃度が保たれているのです。

この血液中にあるブドウ糖のことを「血糖」、血液中にあるブドウ糖の濃度を数値化したものを「血糖値」といいます。

糖尿病は、ブドウ糖の吸収を助けるインスリンが十分に働かず、血液中を流れるブドウ糖が増えてしまう病気なのです。

糖尿病の種類と原因・治療法

血糖値と食材

インスリンが働かない状態には、「インスリン分泌が低下している」「インスリンが十分に効果を発揮できない」の2パターンがあります。
それぞれ、以下のような状態になっています。

【インスリン分泌が低下している】
膵臓の機能が低下し、十分な量のインスリンが作れない。

【インスリンが効果を発揮できない】
インスリンは十分な量が作られているものの、肥満などが原因でインスリンが働きにくくなる。

「糖尿病は太っている人がなるもの」というイメージを持たれている方は多いですが、必ずしも肥満が原因になるわけではありません。

糖尿病は、大きく分けて以下の4つの種類があります。

  • 1型糖尿病
  • 2型糖尿病
  • 二次性糖尿病
  • 妊娠糖尿病

それぞれ、解説します。

1型糖尿病

1型糖尿病は、インスリンの分泌が低下することで血糖値が高くなります。
ウイルス感染や免疫の異常により起こるため、子どもや若い方も発症する可能性があり、やせ型の方が罹患しやすい傾向にあります。

治療法はインスリン注射。
インスリンが体で十分に作れないため、注射でインスリンを補います。

2型糖尿病

2型糖尿病は、インスリンの分泌が低下したり、インスリンの働きが低下したりすることで血糖値が高くなります。

糖尿病の90%は2型糖尿病だといわれています。
2型糖尿病は遺伝的な影響もありますが、食べ過ぎや運動不足、肥満など、生活習慣の乱れによって起きるともいわれています。

治療法は、まずは生活習慣の見直しです。
血糖値を正常な値にコントロールするため、食事や運動習慣の見直しを行います。
食事と運動を行なってもコントロールが難しい場合は、飲み薬や注射などの薬物療法も行います。

二次性糖尿病

膵臓・肝疾患・感染症など糖尿病以外の病気や、膵臓の働きや、インスリンの作用に関係する遺伝子異常が原因で起こるのが二次性糖尿病です。

治療法は、原因となる病気の治療を進めることが優先されます。
インスリンの投与等については、病状を見ながら進めていくこととなります。

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病は、その名の通り妊娠中の方がなる糖尿病です。
妊娠中に判明した、まだ糖尿病の値には到達していない血糖の上昇をいいます。

妊娠中は胎盤から出るホルモンの影響でインスリンの働きが抑制され、血糖値が高い状態になりやすいです。
血糖値が高い状態は出産後、正常値に戻ることがほとんどですが、妊娠糖尿病になった人は、将来、糖尿病になりやすいといわれています。

治療法は、適切な血糖管理です。
負荷が高い運動をするのは難しいため、主に食事療法が行われます。
胎児に十分な栄養を与えながらのコントロールになりますので、入院して管理されることも多いです。

必要に応じて、インスリンを投与して血糖値を下げる治療も行います。

血糖管理のための食事療法で気にしたいのがGI値です。
GI値とは?食品のGI値や体に与える影響をわかりやすく解説」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

糖尿病の症状

糖尿病は、それ自体は「血液中のブドウ糖の濃度が高い状態」のことなので、それが直接何か症状として現れることはありません。
そのため、糖尿病になっていても自覚症状がなく、気付いていないという方も多いのです。

高血糖の状態が何年も続くと、血管が傷つき、心臓病や、失明、腎不全、足の壊疽(組織が死んでしまうこと)といった、より重い病気につながってしまいます。
ほかの病気で受診をしたら、実は糖尿病だったと判明することも少なくありません。

自覚症状が出にくい糖尿病ですが、以下のような症状があったら、高血糖を疑いましょう。

  • 喉が渇く、水をよく飲む
  • 尿の回数が増える
  • 体重が減る
  • 疲れやすくなる

さらに症状が悪化すると、意識障害を起こして昏睡状態になることもあります。

糖尿病をわかりやすくいうと「血液の中の糖が多い状態」のこと

糖尿病は、インスリンの量が不足したり、インスリンが十分に効果を発揮できなかったりして、血糖値が高くなる病気です。

糖尿病には、1型糖尿病、2型糖尿病、二次性糖尿病、妊娠糖尿病があります。
糖尿病は肥満の方がなるものというイメージが強いかもしれませんが、必ずしもそうとはいえません。

ただし、糖尿病の9割を占める2型糖尿病は肥満や運動不足によって引き起こされることがほとんどなので、生活習慣を整えることが予防として有効です。

糖尿病には症状がなく、自覚症状がない方もいるほど。
高血糖の状態が続くと、体にさまざまな不調をきたしたり、重大な病気につながってしまったりすることもあります。

北海道科学大学薬学部薬学科で薬学について幅広く学びませんか?

北海道科学大学薬学部薬学科では、薬学教育モデルのコアカリキュラムのほか、独自のカリキュラムをご用意しています。

超高齢化社会を迎え、薬剤師の存在感や必要性が高まっている中、地域医療を担う一員として、高い専門知識と使命感を持った医療人を育成します。

薬学科の佐藤 久美准教授による講座「血糖値・糖尿病とは」では、血糖とは何か、糖尿病とは何かなどについて、さらに詳しく、わかりやすく解説します。
実際に空腹時・食べ物摂取後の血糖値を測定し、血糖の変化を確かめてみましょう。
血糖を調整する体の仕組みについてお話しします。

情報科学部 情報科学科 誕生情報科学部 情報科学科 誕生