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2024年11月19日

「海難1890」上映会&田中光敏監督特別講演会を実施しました

11月16日(土)、「海難1890」上映会と田中光敏監督の特別講演会を実施しました

日本アカデミー賞10部門優秀賞獲得の『海難1890』の上映会と、上映終了後に『海難1890』の映画製作現場の裏側などについてご講演いただきました。講演会の司会進行はメディアデザイン学科倉本浩平教授が務めました。

本作品は、10年もの長い年月をかけた日本とトルコとの合作で制作された映画で、1890年の和歌山県串本町で実際に起きたトルコ軍艦エルトゥールル号海難事故と、1985年におこったテヘラン邦人救出劇を題材に、日本とトルコの絆を描いた作品です。

映画製作の舞台裏とは。作品が完成して私たちが目にするまでの隠されたエピソード

最初のきっかけは、監督のもとに、和歌山県串本町の田嶋町長からの映画製作の依頼の手紙が届いたことから始まり、当初は映画化は難しいと監督自身も考えていたことや、すべての配給会社に断られたことなど、苦難のスタートであったエピソードに始まり、トルコ大統領やトルコ文化観光大臣とのやりとり、トルコ大統領府での映画製作の企画プレゼンなど、監督からでなければ聞くことのできない貴重なお話をしていただきました。

準備8割、現場2割

映画制作において「準備8割、現場2割」という言葉を強調してお話をされていました。

どれだけ丁寧に準備ができるか、クランクインに向けた準備がとても大切であることが監督から語られました。映画「海難1890」の制作は、日本とトルコの合作、トルコでの撮影やトルコ人と日本人スタッフが撮影に取り組む中で様々な苦労があったことが想像できます。また、この作品では、シーンをすべてを絵コンテで視覚化、画角や演出などを決めていったそうです。その枚数はおよそ2,000枚にも及んだそうです。まさに準備の積み重ねであることが分かります。

講演の最後に「決して諦めないこと」という言葉が語られ、10年もの歳月をかけて「海難1890」を制作した監督の言葉にはとても重みがあり、歳月をかけた入念な準備と作品に対する熱意が伝わる講演会となりました。

ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。


田中 光敏監督

北海道浦河町出身。映画デビュー作 『化粧師-kewaishi』(2001)は、第14回東京国際映画祭に入選、上海国際映画祭招待作品。さだまさし原作の『精霊流し』(2003年)は日本映画復興奨励賞を受賞。『火天の城』(2009)を公開。市川海老蔵主演の『利休にたずねよ』(2013)では、第37回モントリオール世界映画祭で最優秀芸術貢献賞、第37回日本アカデミー賞で作品賞・主演男優賞をはじめ9部門で優秀賞を受賞。2020年に三浦春馬主演の青春幕末映画『天外者』を公開。第94回キネマ旬報、読者選出日本映画ベスト・テン第一位と読者選出日本映画監督賞第一位のW受賞。2015年、日本とトルコの合作映画 『海難1890』を公開。第39回日本アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞など10部門で優秀賞受賞。2023年に『親のお金は誰のもの ~法定相続人~ 』を公開。

現在は、北海道で『北の流氷(仮題)』を来年のクランクインに向け準備中。

北の流氷の製作について

えりも町・浦河町・様似町・広尾町(以下「四町」とする。)が協力し、四町及び北海道の活性化・観光誘致を目的に、えりも町の苦難の緑化事業を題材にした劇場版映画の製作を企画されたものです。四町から浦河町出身の映画監督田中光敏氏へ依頼、人類の永遠のテーマ「人と自然の共生、そして再生を問う」~北海道から全国へ、そして世界へ~をテーマに、全国劇場公開を目指してスタート。
数々の問題を抱える現代に生きる人々に思い出してほしい心がこの物語にはあると信じ、実話に基づく「えりもの緑化事業」を題材にしたこの映画の製作を手掛けています。
本学もこの映画製作プロジェクトに賛同し協力しています。