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お知らせ

「第35回北海道臨床工学会」において本学の学生が最優秀演題賞・優秀演題賞を受賞しました

2024年11月3日(日)に「第35回北海道臨床工学会」が開催され、臨床工学科4年の坂田修菜さんが最優秀演題賞、医療技術学専攻2年大友玲奈さん、臨床工学科4年渡辺雪菜さんが優秀演題賞を受賞しました。

受賞の様子:左から大友さん、渡辺さん、坂田さん

受賞した坂田さん、大友さん、渡辺さんに研究内容についてお話を伺いました。

最優秀演題賞

坂田修菜さん

演題名:「手術器具管理における機械学習を用いた物体検出の検討-滅菌インジケータ検出システムの構築と精度評価-」

発表者:坂田修菜、大塚なつみ、渡邉翔太郎、有澤博明

  • 研究テーマを選んだ理由

機械学習(AI)の普及は医療業界でも見込まれており、医療機器を扱う臨床工学技士の業務に関わることが考えられます。機械学習を活用して医療従事者の業務負担の軽減に貢献したいと思い、この研究を選びました。

  • 研究した内容を教えてください

滅菌インジケータは滅菌条件が達成されたことを示すツールであり、医療器具と一緒にパックに封入されています。しかし、現行の滅菌インジケータの封入確認は手作業であり、ヒューマンエラーが発生する危険性があります。そこで、本研究では、機械学習による物体検出技術を用いて滅菌インジケータを自動検出するシステムの構築と検出精度の評価を行いました。結果として、構築したシステムは100%の確率で滅菌インジケータを正しく検出することができました。今後は、システムの詳細な設計を確立することで病院での運用を目指します。

優秀演題賞

大友玲奈さん

演題名:「金属腐食を認めた透析液流路内における透析液の細菌汚染時間と熱水消毒の効果の検討」

発表者:大友玲奈、中村実、清水久恵、古谷大輔、印藤智一

  • 研究テーマを選んだ理由

これまで、同様の研究で発表を行ってきました。4年生の時の卒業研究のときから続けており、さらなる熱水消毒の可能性を知るために本研究を選び、今日まで研究を続けてきました。

  • 研究した内容を教えてください

透析用監視装置内の部品である脱気ポンプを対象に、金属腐食の有無で人為的に細菌汚染させ、熱水消毒の効果を検証しました。これまでの研究と違う点は、細菌汚染の時間を12時間から18時間に延長することで、より厳しい条件下での実験となりました。まず、熱水消毒前では金属腐食がないポンプに比べ、金属腐食ポンプでは有意に細菌汚染されることが確認され、さらにはガイドラインで定められている数値も逸脱しました。しかし、熱水消毒を行うことで透析液流路内の清浄度を得ることができました。今回の結果から、金属腐食があることで有意に細菌汚染を助長させてしまうこと、また、仮に18時間細菌汚染してしまっても熱水消毒を行うことで透析液流路内の清浄度を得ることができると確認されました。

渡辺雪菜さん

演題名:「細菌由来DNAフラグメント吸着試作カラムの開発と性能評価」

発表者:渡辺雪菜、村上かの、福井亮輝、村田有未、中村実

  • 研究テーマに選んだ理由

透析治療に使用する透析液は高度な清浄化が求められます。そこで、患者様にとってより安全な透析治療を行うための知見を提供したいと考え、この研究テーマを選びました。

  • 研究した内容を教えてください

透析治療に使用する透析液内の細菌由来DNAフラグメント(bDNA)が患者様の炎症反応を助長するという報告があります。しかし、bDNAを吸着するデバイスがないのが現状です。そこで本研究は、DNAを吸着するシリカゲルを用いたbDNA吸着試作カラムを作製し、性能を評価しました。その結果、安定した回路内圧で一定量のbDNAを吸着することができました。今後も研究を継続することで、透析液の清浄化に関する詳細な知見を提供するとともに、透析患者様のQOL向上に寄与できることを期待します。


坂田さん、大友さん、渡辺さん、この度の受賞おめでとうございます。