FACULTY

カリキュラムの特長

薬学部 薬学科

薬学科のカリキュラムの特長

 薬学科のカリキュラムは、薬学教育モデル・コア・カリキュラムに準拠しつつ、地域社会の保健・医療・福祉及び薬学分野の発展に寄与することのできる卒業生を輩出するために、本学独⾃の特色あるプログラムを提供しています。以下にその一例を⽰します。

1.薬学生としてスムーズにスタートを切るための初年次教育プログラム(HUS スタンダード科目)

 1 年次から 2 年次に開講する本学の基盤能⼒育成プログラムです。1年次前期に開講する「フレッシュマンセミナー」では、早期に⼤学での学びを確⽴し、⼤学生活におけるコミュニティの形成、禁煙・薬物乱用防止に関する講演と、アクティブ・ラーニングによるコミュニケーション演習を取り入れ、早期に医療人となる⾃覚と良好な対人関係を構築することを目指しています。このほか、日本語表現法や情報処理法、データサイエンス等、⼤学生に求められる⽂章作成能⼒や情報リテラシー、データの収集、管理、可視化、分析などの基礎技術を修得する科目を開講しています。 

2.基盤能力を育む幅広い選択科目群

 選択科目では、人⽂・社会科学領域の科目を充実させ、物事を多角的に⾒る能⼒及び豊かな人間性や知性を養うための授業科目を配置しています。1 年次では、薬学を学ぶ上で必要となる「基礎数学」、「基礎物理学」に加え、上位プログラムとして「⾃然科学概論」を開講し、サイエンスの観点から⾒た薬学の魅⼒を学びます。3年次では、特に医療・薬学領域と関連の深い科目を配置しています。

3.薬剤師としての倫理観・医療職としての使命感・職業観を醸成する体験プログラム

 1年次の「早期臨床体験実習」は、早期体験実習、防災・救急対応実習で構成しています。早期体験実習では病院、薬局において各2日間の薬剤師体験実習を⾏います。 防災・救急対応実習では、災害時の⾏動、平時の防災対策、救急救命法の基礎知識と技能を修得します。同じく1年次に開講する「薬学概論」では、薬剤師にとっての生涯学習の必要性を認識し、学生のうちから⾃ら生涯学習に取り組む意欲と態度の醸成を図ります。
 2年次の「医療倫理学」は、国⺠の健康増進、医療安全、薬害防止における薬剤師の役割と使命を学びます。
また、3年次の「社会と薬」では、薬害被害者、弁護⼠が授業に参加することで、薬害防止と防止に果たす薬剤師のかかわりや役割を、倫理的、法的側⾯から学びます。
 「キャリアデザインⅠ・Ⅱ」は 1〜4年次に開講され、さまざまな職種で働く薬剤師からの講演と、その間に学んだ「社会と薬学」、「基礎薬学」、「医療薬学」、「衛生薬学」及び「臨床薬学」の知識、技能、態度を結びつけることで将来の薬剤師像をイメージし、倫理観とプロフェッショナリズムを醸成します。3年次の「キュアとケア」では、医学、看護、福祉など多職種の専門性と役割、介護との関連性を学び、医療人としての基本的な態度を醸成することを目指しています。

4.デジタル技術・データサイエンスを育む学修プログラム

 1年次の「HUS スタンダード」科目の「情報処理法」、「統計分析法」、「データサイエンス」は、⽂部科学省「数理・データサイエンス・AI 教育プログラム」に認定されており、「AI 入門」を加えた4科目で数理・データサイエンス・AI の基礎的な能⼒(リテラシーレベル)を⾝につけます。また、2024年度より全学部で開講する数理・データサイエンス・AI 副専攻ログラム(応用基礎レベル)で AI を活用して課題解決につなげる基礎能⼒を修得します。

 さらに4年次の「医療情報解析学」では医療、保健、介護、福祉に関するビッグデータの理解を深め、「医療デジタル技術論」では⼯学部情報⼯学科との薬⼯連携教育で医療に関わるデジタル技術の利活用を学びます。

5.個別最適化された薬物療法、地域住⺠の健康生活の確保の多職種連携を通じた実践を指向したプログラム

 1、2 年次の基礎薬学関連科目と2、3 年次の薬理学関連科目の知識を融合する科目として、4 年次に「医薬品化学Ⅰ」及び「医薬品化学Ⅱ」を開講します。「医薬品化学Ⅰ」では主として薬物のターゲットとの相互作用を、「医薬品化学Ⅱ」では薬物の構造と反応性について理解を深めます。また「医薬品化学Ⅰ・Ⅱ」において融合した「基礎薬学」と、「医療薬学」で段階的に学んだ薬理、病態生理、薬物治療に関する知識を 4 年次の「薬と疾病」における症例演習で統合させて、個別最適化された薬物療法の実践能⼒を⾝につけることで 5 年次の「実務実習」につなげます。さらに、4 年次の「地域と健康」では、「社会と薬学」及び「衛生薬学」で学んだ地域住⺠の健康生活の確保に向けた薬剤師の役割と活動について実践例の検討を⾏うことで、医療現場で必要とされる実践的能⼒を修得します。
 1 年次の「多職種連携教育Ⅰ」は医学部 1 年生との合同講義であり、多様な専門職の職能や⾃他尊重のコミュニケーションについて理解し、多職種連携の意義を学びます。実務実習を終えた後に開講される 6 年次の「多職種連携教育Ⅱ」では保健医療学部の 4 年次学生とともに症例検討を⾏うことで、患者・生活者に質の⾼い医療、保健、介護、福祉を提供するための実践的能⼒を⾝につけます。 

科目紹介

HUS スタンダード

 「HUS スタンダード」とは、北海道科学⼤学でスローガンとして掲げている「+Professional」の根幹を成す「基盤能⼒」を⾝につけるため、すべての学部の学生が学ぶ基盤能⼒育成プログラムです。「基盤能⼒」は分野や専門性を問わず、社会で求められる⼒のことを指し、本学の教育で⾝につけることができる⼒は以下の 4 つのディプロマ・ポリシーとして表しています。


1.コミュニケーション⼒
2.課題発⾒解決⼒
3.⾃らを律し、学び続ける⼒
4.多様な視点から物事を捉え、異なる意⾒を理解する⼒


「HUS スタンダード」はこれらの能⼒を⾝につけるため、以下の 5 つの学びの特色を備えた全く新しい教育プログラムとして開発されました。


1.異分野間で協働する⼒を育む複数学部・複数学科混成授業
2.Society5.0 に対応した数理・AI・データサイエンス教育
3.地域課題に主体的に関わる課題発⾒解決型授業
4.専門外の最先端を学ぶ「+Professional セミナー」
5.SDGs(環境、⾃然、人権、平和、共生)を多様な視点から学ぶ科目群

 具体的には「日本語表現法(作⽂、論⽂)・(読解、分析)」、「英語(環境)・(科学)・(時事)」、「課題発⾒解決法Ⅰ・Ⅱ」、「データサイエンス」、「SDGs(環境と⾃然)・(環境と人権)・(国際平和と⺠族)・(多⽂化共生)」、「フレッシュマンセミナー」、「+Professional セミナー」、「現代倫理学」といった 18 科目を開講し、すべての科目が必修科目となっています(一部選択必修科目を含む 20 単位が必修)。特に、「情報処理法」、「統計分析法」、「データサイエンス」の 3 科目はすでに⽂部科学省「数理・データサイエンス・AI 教育プログラム」に認定されていますが、「HUS スタンダード」ではこれに「AI 入門」を加えた 4 科目を全学必修科目としており、このプログラムによりすべての学生が数理・データサイエンス・AI の基礎的な能⼒を⾝につけることができます。 

薬学関連科目

 「薬学関連科目」では、薬学分野に関連する幅広い知識、技能を、必修科目、選択科目を通じて修得します。1年次に開講される HUS スタンダード科目の「英語」群に続き、「医療英語Ⅰ」及び2年次に開講される「医療英語Ⅱ」、「英語演習」では、薬学で必要とされる英語に関する「読む」、「書く」、「聞く」、「話す」の4技能の基本的事項を、ヘルスサイエンスに関連した題材を用いて修得します。4〜6 年次の開講科目である「卒業研究」の一環として開講する「学術英語読解」(薬学専門科目)では、卒業研究テーマに関連した最新の学術論⽂を検索、読み解き、さらに⾼度な語学⼒を涵養します。
 また、選択科目として 1 年次に薬学部で必要となる数学、物理学の基礎を学ぶ「基礎数学」、「基礎物理学」を、生命科学を中⼼とした⾃然科学に関する知識を涵養するために「⾃然科学概論」を、3 年次に薬剤師業務に深く関連する様々な領域から「薬用植物学」、「ヘルスケアマーケティング」、「香粧品学」、「薬局経営学」、「社会保障論」、「英語コミュニケーション」、「薬学研究概論」をそれぞれ開講しています。 

薬学専門科目

 「薬学専門科目」では、薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和 4 年度改訂版)に準じ、各科目を「社会と薬学」、「基礎薬学」、「医療薬学」、「衛生薬学」、「臨床薬学」、「卒業研究」及び「総合演習」に分類しています。

 「社会と薬学」は、薬剤師としての使命・責任の醸成は各領域の学修と深く関連することから、1年次から 6 年次まで継続して学ぶことができるよう授業科目を配置しています。具体的には、薬剤師の責務、薬剤師に求められる社会性、社会・地域における薬剤師の活動、医薬品等の規制、情報・科学技術の活用について学びます。

 「基礎薬学」は薬学専門科目をスムーズに学ぶことができるように、薬剤師となるための科学的基盤となる物理系薬学・化学系薬学及び生物系薬学科目の関連性を考慮して1年次から 4 年次に配置し、シームレスに学修できるように講義、実習科目を開講しています。

 物理系薬学・化学系薬学に関する科目では、化学物質の物理化学的性質 、医薬品及び化学物質の分析法と医療現場における応用分析法、薬学の中の有機化学、薬学の中の医薬品化学、薬学の中の生薬学・天然物化学について学びます。また、生物系薬学に関する科目では、生命現象の基礎、人体の構造と機能及びその調節について学びます。

 「医療薬学」では、患者個々の薬物治療を実践するための基本となる標準的、一般的な薬物治療に関する知識や技能を修得するための学修を⾏います。2 年次から 4 年次に薬理学、病態生理学、薬物治療学に関する科目を中⼼に、薬物の作用と生体の変化、薬物治療につながる薬理・病態を、薬剤学に関する科目では薬の生体内運命、製剤化のサイエンスについて学びます。特に、「薬理学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ」、「病態生理学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」、後述する「臨床薬学」科目である「薬物治療学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」の 3 領域を対応させることで、知識関連付けを⾏い、「臨床薬学」での学びにつなげています。

 「衛生薬学」では、2 年次から 4 年次に社会・集団における⾝体的、精神的な健康の維持・増進をはかる公衆衛生、健康の維持・増進につながる栄養と食品衛生、化学物質の管理と環境衛生について学びます。

 「臨床薬学」では、「基礎薬学」、「医療薬学」、「衛生薬学」で学んだ医薬品や医療現場に関する科学的知識を統合し、薬物治療の個別最適化を実践するための学びを展開します。さらに「社会と薬学」で学んだ基本的な社会制度やコミュニケーションなどに関する知識や⾏動規範、医療人としての考え⽅や⼼構えを理解して質の⾼い医療・福祉・公衆衛生等を医療現場や社会で実践するために、2 年次から 6 年次に薬物治療の実践、多職種連携における薬剤師の貢献、医療マネジメント・医療安全の実践、地域医療・公衆衛生への貢献について学びます。

 さらに、3 年次の「臨床薬学 I・Ⅱ」および 4 年次の「臨床薬学実習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」では、個別最適化の基本となる調剤技能や患者応対など、臨床で求められる基本的な能⼒を修得します。

薬学共用試験について
薬学生は5年次実務実習に必要な最低限の知識、技能、態度を修得していることを示すために、薬学共用試験に合格しなければなりません。薬学共用試験は、知識の到達度を評価するCBT(Computer Based Testing)および、技能・態度を確認するOSCE(Objective Structured Clinical Examination)により構成されています。本学では4年次12月にOSCEを、1月にCBTを実施します。

 「卒業研究」では、「社会と薬学」、「基礎薬学」、「医療薬学」、「衛生薬学」及び「臨床薬学」における学修を基盤として、批判的思考と俯瞰的思考により薬学的課題を発⾒し、使命感と責任感を持って研究倫理に則って研究を遂⾏する資質・能⼒を⾝につけるために、薬学的課題の探究と薬学研究に取り組む姿勢、研究の実践に取り組みます。
 「総合演習」は 1 年次から 4 年次及び 6 年次に配置され、「社会と薬学」、「基礎薬学」、「医療薬学」、「衛生薬学」及び「臨床薬学」で学修した知識の定着を図ると共に、科目のつながりを意識した構成とし年次ごとに学修成果の確認を⾏います。特に、4 年次の「総合演習Ⅳ」では実務実習に必要な知識を、6 年次の「総合演習Ⅴ」ではそれまで学んだ薬学専門科目の学修内容を総復習します。

科目紹介

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