COOPERATION

研究紹介

研究・産学連携

女性特有の特徴に合わせた薬物療法を届けたい

相馬 まゆ子 講師

 私は、妊娠・出産や更年期といった女性特有のライフイベントにおける薬物療法の安全性と有効性に焦点を当てた研究をしています。

 近年、女性の出産年齢は上昇し、慢性疾患を抱えながら妊娠・出産を迎えるケースが増えています。妊娠期間中、女性の体は子宮内で胎児を育てる環境を整えるため、劇的な変化を遂げます。したがって妊娠前から服用していた薬がある場合、妊娠によって薬の吸収や排泄の割合が変化することがあります。こうした体内動態の変化が、結果として薬の効果に影響を及ぼす可能性があるため、投与量を調節するなど慎重に検討する必要があります。母親が摂取した薬剤の中には、妊娠中には胎盤を通じて胎児に移行するものや、授乳期には母乳を介して乳児にも影響を与えてしまう可能性があるものもあります。したがって妊娠期・授乳期に安全に使用できる薬剤のエビデンスを確立することが求められています。そこで私は、妊婦および胎児、授乳婦や乳児における薬物使用の安全性を検証して、科学的根拠に基づいた薬剤選択のサポート体制の構築を目指して研究を行っています。

 さらに、女性は年齢とともに更年期や閉経を迎え、ホルモンバランスの変化が生じます。この時期には、ホルモン補充療法や骨粗しょう症予防、更年期症状の緩和を目的とする薬剤を必要とすることがあります。これらの薬物療法を適切に提供することは、女性が健康を維持しながら社会で活躍し続けるために不可欠です。

 以上のことから、女性のライフステージごとに必要な医療サポートのあり方を探求し、より安全で効果的な薬物療法の提供に貢献したいと考えています。

 私はこれまで、病院にて妊婦・授乳婦専門薬剤師として、産科や婦人科の疾患を抱える女性たちに寄り添いながら勤務していました。この経験を活かし、今後は医療機関と連携しながら、女性や子どもを取り巻く環境をより良いものにするため、基礎研究と臨床研究を結びつける取り組みを進めていきます。自分の研究を通して、女性が健康を維持しながら自分らしい人生を歩める社会の実現を目指しています。

相馬 まゆ子 講師

  • 学位/博士(薬学)
  • 研究分野/医療薬学、臨床薬物治療学
  • 研究テーマ/妊娠糖尿病における各指標を用いた治療の予測に関する検討、子宮内膜症・月経困難症治療薬についての医薬品適正使用