タンパク質間ネットワークと病気の関連を物理化学の視点で解明
生体の中では様々なタンパク質間相互作用によるネットワークが形成されており、恒常性維持に関与している。このタンパク質間ネットワークが破綻すると、がんなどの病気になる。また、ウイルスや細菌もタンパク質間相互作用を利用して、ヒトの体内に侵入し病気を引き起こす。すなわちタンパク質間ネットワークを正常に機能させること、もしくはウイルスや細菌のタンパク質の働きを阻害するのが薬のコンセプトの一つである。
そこで、新たな薬の開発をゴールとして病気に関わるタンパク質が形成するタンパク質間相互作用解析について研究を行っている。主な研究対象は①マラリア原虫アピコプラストへのタンパク質輸送に関わるTic22タンパク質と、②がん抑制タンパク質として注目を集めるDiRAS3タンパク質である。これらのタンパク質の大量発現を構築し、精製法を確立したのち、タンパク質間相互作用を行っている。解析にはバイオレイヤー干渉(BLI)法や核磁気共鳴(NMR)スペクトル解析、パソコンによるインシリコスクリーニングを利用している。
また、これらのターゲットに加え、他の疾患関連タンパク質についても他大学との共同研究を積極的に進めている。
齊藤 貴士 准教授
- 学位/博士(理学)
- 研究分野/生物物理学、構造生物学化学、物理系薬学
- 研究テーマ/創薬を目指した生体分子間の相互作用解析