COOPERATION

研究紹介

研究・産学連携

患者さんが治療薬を継続して正しく服用できるための支援策の検討

櫻井 秀彦 教授商学 医療管理学 医療系社会学

糖尿病や高血圧などの慢性疾患を抱える患者さんは、治療薬を継続して飲み続けなければなりません。しかし、飲み忘れや飲み残し、飲み飛ばしなどで、正しく服用されていない実態が報告されています。残薬を金額換算すると膨大なものになり、治療効果が得られないことによる症状の悪化や合併症によるQOLの低下に加え、更に追加的な医療費がかかる等、医療だけなく経済的な問題にもなっています。これは日本だけでなく、世界共通の問題であり、世界保健機関(WHO)も警告を発しています。

そこで、継続して服用できるためには、患者さんのどのような意識や態度、知識などが関連するのかについて、消費者行動論や医療経済学の知見を援用して研究しています。

これまでの研究では、大きな要因としては、本人の自分の行動への自信(自己効力感と言います)の影響が強いこと、一方で自分の健康や医療に関する知識に過剰な自信を持つ場合には負の影響を示すことを明らかにしました。また、海外の研究では、治療への積極的な態度は正の影響を示すのに対し、日本人ではそれが示されないなど、医療制度や医療の慣習の影響も示唆されました。

今後は、国際比較研究を行い、日本人に合った、服薬支援策を疾患ごとで検討する研究を行っていきます。

櫻井 秀彦 教授

  • 学位/博士(商学)
  • 研究分野/社会薬学、消費者行動、医療経済学
  • 研究テーマ/服薬アドヒアランスの影響要因に関する実証研究