薬剤耐性菌の世界的蔓延により、抗微生物薬は貴重な資源となっています。
薬の専門家である我々薬剤師には、抗微生物薬を正しく使い、「後世に紡ぐ責務」があります。

私は、感染制御専門薬剤師として、病院の抗微生物薬の管理を長年務めてきました。
感染症治療における抗微生物治療の個別化は、「治療効果の最大化」、「副作用のリスクの軽減」、「耐性菌の予防」の観点から非常に重要です。
私の前職の札幌徳洲会病院 薬剤部では、抗菌薬適正使用支援チームの中核を薬剤師が担っています。
薬剤師が患者の重症度、腎機能、原因微生物によって最適な治療薬を丁寧に選択し、医師へ処方提案を行います。
このような地道な活動が、耐性菌の抑制だけでなく、患者のアウトカムへ貢献することが期待されます。
現在も私は定期的に病院に赴き、適正な感染症治療の提供について、医師とディスカッションを重ねています。

私の研究では、このような薬剤師の主導的な抗微生物薬適正使用支援について、臨床効果、費用対効果、耐性菌への影響など、包括的な臨床アウトカムを評価する臨床研究を実施しています。